白血病は血液のがんであり、胃がんのような固形がんとちがって外科的切除はできず、抗がん剤などを使った「薬剤治療」、「放射線療法」、「造血幹細胞移植」などによって治療がおこなわれます。薬剤治療には、がん細胞を直接叩く「抗がん剤治療」や、免疫力を高める「インターフェロン療法」などがあります。造血幹細胞移植には、「骨髄移植」のほか、「臍帯血移植」、「末梢血幹細胞移植」、「ミニ移植」などがあります。
白血病治療の目的は、まず患者を「完全寛解」(一時的にがん細胞が10の9乗個以下に減少し、血球や臓器の機能が正常に戻る場合)の状態にもっていくことですが、完全治癒のためには、寛解期にさらに残った白血病細胞を叩いてゼロにする必要があります。これを「寛解後療法」といい、3~4コースの地固め療法と1~2年の維持・強化療法が必須です。なお、造血幹細胞移植療法は最も効果的な寛解後療法であるといえます。
●急性骨髄性白血病
急性骨髄性白血病の標準的な治療法は、併用化学療法(抗がん剤)を用いてがん細胞を死滅させることです。65歳未満の若年患者では、その約80%が完全寛解に至りますが、その後も治療を継続しなければほとんどの患者が再発します。寛解後治療により寛解例の35%以上が治癒するものと期待されています。65歳以上では、完全寛解率は60%台ですが治癒はほとんど期待できず、治癒を目指すというよりも病気をコントロールしてQOLの向上を優先する方法を選ぶことが多くなります。
長期生存の確率は、疾患のリスクが低かったか、標準的なリスクであったか、または高リスクであったかに大きく依存し、リスクが低い患者では、良好な健康状態を伴う5年生存率は約60%であり、高いリスクの患者では、骨髄移植または血液幹細胞移植が行われなかった場合の長期生存率はきわめて低いものとなります。なお、移植後の生存率は、患者の年齢、健康状態、ドナーとの適合度などあらゆる要因で変わってくるため、一概に予測できません。
●慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病の治療は病期によって異なります。慢性期は他の病期と比較して多くの治療方法がありますが、病気が進行するに従って治療方法の選択の幅が少なくなります。
化学療法のみでは通常診断後約4年で移行期を経て急性転化し死亡します。家族ドナーからの造血幹細胞移植療法により50%以上は長期生存します。
【慢性期の治療方法】
慢性期の治療方法は、主に下記を中心に、患者の病状、治療効果、副作用などを総合的に判断して選択されます。
1.造血幹細胞移植
患者の骨髄を白血球の型(HLA)の一致したドナーより提供された骨髄に入れ替える方法です。
2.グリベック療法
慢性骨髄性白血病の新薬グリベックを服用する方法です。従来の薬と比較して副作用が少ないと言われています。
3.インターフェロン療法
インターフェロンを注射することで治療する方法で、現在、慢性骨髄性白血病の標準療法の一部として一般的に用いられています。インターフェロンの投与を受けた患者の約4分の1に、長期寛解が得られるといわれています。ただし、一部の患者では、重い副作用(たとえば重症インフルエンザのような症状)が生ずることがあります。
4.化学療法
抗がん剤を用いる治療方法です。多種の抗がん剤を組み合わせて使う併用療法が用いられますが、これは互いの抗白血病作用を相乗的に増強することに加え、個々の薬剤が持つ副作用を分散させることができるので、現行の白血病化学療法のほとんどは2~3剤の併用療法で行われています。
慢性骨髄性白血病は治療可能ではあるものの完全治癒は難しいものです。その唯一の治療法は、健康なドナーからの骨髄移植ですが、慢性骨髄性白血病患者の大部分は高齢であり、骨髄移植の利点よりもリスクのほうが高いため、骨髄移植は一般的な選択肢ではありません。ただし患者に適切なドナーがいて、患者が若い場合には、早期の骨髄移植が最も高い成功率を期待できます。
患者が進行期に入った場合には、骨髄移植を行わない限り、平均生存期間は1年未満となります。急性期に入った場合には、余命は数ヶ月に短縮されます。慢性骨髄性白血病における最も一般的な死因は不可抗力の感染症だといわれていますが、しっかりしたターミナルケアにより、患者は最後まで快適に過ごすこともできます。
●急性リンパ性白血病
急性白血病が迅速に治療されなかった場合には、白血病細胞が正常血球に置き換わり、その結果、患者は重度の貧血、出血および感染症を引き起こします。治療が行われないと、症状は急激に悪化して生命を脅かすものとなるため、治療を急がなくてはなりません。
小児急性リンパ性白血病では、理想的な化学療法を行うと95%以上が完全寛解となり、標準リスク群の80%、高リスク群でも60%以上が治癒するものと期待されています。成人の急性リンパ性白血病では、約60~80%が最初の治療クールで完全寛解になりますが、寛解例の30%以下にしか治癒は期待できません 。
●慢性リンパ性白血病
慢性リンパ性白血病は欧米に比べ、日本では10分の1程度の発症率しかない稀な白血病です。高齢者に多く、発症は緩やかであり、進行しないと症状は現れません。
最近の慢性リンパ性白血病の治療では、従来よりも効果の認められるフルダラビン(フルダラ)が作られ、日本でも市販されています。
